12月のその他(エーリク・ポッペ監督『おやすみなさいを言いたくて』他)感想

【2014年12月に観たその他の映画の感想メモ】

なんか、もう年間ベスト・テンとか作ってしまったりして、12月のまとめなんか書くのもピンボケしてる感じがありますが、一応記録のために書いておきます。
12月の・・・染谷君は私のものにしたかったで賞:『寄生獣』、痩せたで賞:『百円の恋』、カメラに砂埃が入るで賞:『おやすみなさいを言いたくて』。
★=1、☆=0.5

 

kiseiju

『寄生獣』/山崎貴/日本/2014(2014.12.6 新宿ピカデリー)★★★★

日本映画部門の2014年年間ベストテンに入れたぐらい面白かったです。最近のVFXって凄いんだなぁ。しかし染谷将太は演技上手いし、顔はちょっと櫻井翔に似ていて、個性派俳優ながら普通に可愛いと思うんですがどうでしょうか。大晦日に電撃入籍のニュースが流れてちょっと打ちひしがれました。でもおめでとうございます。とりあえず完結編を楽しみにしてます。

 

The_Reluctant_Revolutionary

『気乗りのしない革命家』/ショーン・マカリスター/イギリス/2012(2014.12.7 K’sシネマ)★★★

『イラク チグリスに浮かぶ平和』と同タイプの、芸術的というよりはジャーナリズム的なほうのドキュメンタリー映画だった。イエメンにおける「アラブの春」を、そのただ中にイギリス人ジャーナリストである監督が潜り込んで捉えた映像で構成されていた。これも結構命がけの様子だった。あの有名な旧市街の建築群や噂のドラッグなど(イエメンの人たちは普通に葉っぱをやっている)が当たり前に映り込んでいてなかなか興奮した。革命によってまた観光客が減っただろうと思うと本当に難しいと思う。それにしても、一般人が普通に英語が話せることに驚いた。日本人って本当にダメなんだな・・・。

 

gazakougeki★★★

『ガザ攻撃(ガザに生きる 第5章)』/土井敏邦/日本/2012(2014.12.13 K’sシネマ)

ガザの惨状だけでなく、イスラエルの一般人の声も聞くことができて良かった。ガザの様子は本当に酷く、破壊の目的は「ただ破壊するため」であることがイスラエル軍にいた者へのインタビューから明らかになってきて、ただ惨状を伝えるだけのものよりも強く印象に残った。しかしその理由には絶望を感じた。監督がパレスチナを出て近代的なテルアビブの街を歩いているとき、ユダヤ人の若者たちに「Where are you from?」と聞かれて、「from Japan.」と答えたら「Nice.」と返ってきていた。日本はイスラエルの人達にとっては少なくとも敵ではないらしい。パレスチナの人からするとどうなんだろう?かなり考えさせられた。

 

vertigo

『めまい』/アルフレッド・ヒッチコック/アメリカ/1958(2014.12.13 新文芸坐)★★★★

10年振りぐらいに観たらほとんど覚えていなかった。『思い出のマーニー』はこの映画も意識していたんだなと気付いた。『ゴーン・ガール』との比較で色々考えたところもあったけど(『ゴーン・ガール』の感想参照)、それ以外でいえば、この映画ってこんなにサイケだったんだ!と思った。1958年にしてあの映像・・・ヒッチコックは60年代のヒッピー・フラワームーヴメントより10年も前にサイケを映像化していたのか。あ、でもディズニーの『ダンボ』は1941年に既にサイケだったしな・・・。

 

acaraquemereces

『自分に見合った顔』/ミゲル・ゴメス/ポルトガル/2004(2014.12.19 新文芸坐)★★★☆

新文芸坐シネマテークの企画にて鑑賞。オープニングは映画的で、『サウンド・オブ・ミュージック』みたいなミュージカルっぷりで驚いたけど、雨が降ってきたところなんかは感動的に映画的だった(変な日本語)。そしてミゲル・ゴメスお決まりの二部編成のような構造で、後半はわけがわからず、「確かにジャック・リヴェットに似てるな、でもアタシもうこういうのはキャパ超えだし頭フル回転させて理解しようとする気力は残ってないのよファック」などと考えていたけど講義付きだったので解説してもらえてスッキリした。ゴメス映画はゲーム的・遊戯的なところがリヴェットと似ているけど、両者の決定的な違いは、リヴェット映画には必ず中心があってそこに人が集まってくる(でもその中心は映画には登場しない)けど、ミゲル・ゴメスの映画には中心はない、とのこと。ゴメス映画はその特徴的な二部構成によって鏡のようになっていて、前半にあるものが後半になく、後半にあるものが前半にはない造りになっているそう。言われるとかなり納得。解説があったことでなんとか理解できた気がするけど、まぁやっぱり好きなタイプの映画ではなかった。でも解説を踏まえてもう一度観たいとは思った。見るたびに好きになっていきそうな感じがした。

 

maps-to-the-stars

『マップ・トゥ・ザ・スターズ』/デヴィッド・クローネンバーグ/アメリカ・カナダ・フランス・ドイツ/2014(2014.12.20 新宿武蔵野館)★★

ハリウッドの異様な状況とかジュリアン・ムーアの演技とかはすごく良かったけど、そこに幽霊が見えるだのなんだのの要素を盛り込んだのは失敗としか思えない。あとミア・ワシコウスカが結局サイコパスだったのでがっかり。映画はミア・ワシコウスカ演じるアガサ肯定的に描いているけど、こういうゆるふわサイコパスを肯定的に描く映画は本当に苦手。

 

hyakuennokoi

『百円の恋』/武正晴/日本/2014(2014.12.20 テアトル新宿)★★★★

安藤サクラは凄い!とにかくうまい。役作りのための体型の変化が俳優の評価に直結するのはちょっと違う気もする。けど、この安藤サクラはやっぱりすごい。背中の肉がグダグダになってる序盤から、主人公がボクシングを始めてどんどん引き締まっていく様は安藤サクラが実際に引き締まっていっている。しかもただ痩せていくんじゃなくて、ちゃんと筋肉が付いている感じになっていっていた。これってだいたい順撮りしたってことかな?新井浩文も役にぴったりだった。百円ショップ周りの人々に個性が強すぎるのがちょっと好みじゃなかったし、随所にあるコメディな部分が全て6~7割しか笑えなかったのは相性が悪かったんだと思う。けどスカッとする良い映画だった。舞台あいさつで見た安藤サクラはめちゃくちゃ可愛かった。

 

oyasuminasaiwoiitakute

『おやすみなさいを言いたくて』/エーリク・ポッペ/ノルウェー・アイルランド・スウェーデン/2013(2014.12.21 角川シネマ有楽町)★★★★☆

この監督はベント・ハーメル『卵の番人』を撮影した人で、さすがに映像がめちゃくちゃ綺麗だった。主人公の心情を代弁する抽象的な映像が随所に挟まれるけど、やりすぎでなく、バランスが良かった。長期にわたって紛争地域にいたレベッカが家に戻ってからみんなで食事をする場面で、他の人は複数でフレーム内に収まっているのに、レベッカだけが一人でフレーム内にいて、孤立しているような撮られ方をしていたのを観たときに「これはこのまま平和に家族で暮らすというわけにはいかないんだろうな」と思った。正直言って私は紛争地域の映像が好き(語弊があるけど、見てみたいという気持ちが強い)なので、それだけでもポイントアップしてしまうところはあるけど(実際、イスラム圏で女性が肌を出して身体に爆弾を巻きつける姿なんて、いくら同姓で世界的に有名なカメラマンだからって撮らせてもらえるものなの?等の疑問が湧かなくもなかった)、でも使命感を持って取り組んでいる仕事と家庭との両立に悩む姿は他人事とも思えず、テーマ的にも凄く良かったと思う。レベッカは世界的に有名なカメラマンだからまだ主張する権利がありそうだけど、そうでない場合には主張してはいけないのかな?ということも考えた。その意味では、レベッカをあれほど高名なカメラマンという設定にしなくても良かったかも、とは思った。しかし思春期の娘の複雑な気持ちや夫の辛さ、家族が気まずくなったときの雰囲気などすごく丁寧に演出されていて一つ一つ納得がいった。

 

tokiwokakerusyoujo

『時をかける少女』/大林宣彦/日本/1983(2014.12.23 新宿ミラノ座)★★★★☆

初めて見たけどさすが大林宣彦、尾道の美しさと実験的な試みをうまくブレンドさせて、かつエンターテイメント性抜群のアイドル映画に仕立て上げていた。凄い!初期の原田知世は奥二重なんですね。昔は奥二重アイドル・女優がたくさんいたんだよなぁ。今じゃ吉高由里子くらいしか見かけないような。それにしても松任谷正隆・由実の音楽が素晴らしかった。MVは映画の撮影中に少しずつ撮ったんだろうか?結構すごいと思う。驚いた。あ、あとこの時代のアイドル演じる「女の子」は、人格がほとんど無いのですね。

 

takiwominiiku

『滝を見にいく』/沖田修一/日本/2014(2014.12.25 新宿武蔵野館)★★★☆

おばちゃんばっかり集まって、なかなかどうしてスリルあり笑いありの良い映画になってました。美容師と腰痛と蛇使いが特に良かった。ちょっとアクが強すぎて浮いてる人もいたけど、だいたいそこらへんにいそうなキャラクターが会話によって作られていて見事だった。

 

senjounomerrychristmas

『戦場のメリークリスマス』/大島渚/日本/1983(2014.12.25 新宿ミラノ座)★★★

10年以上ぶりだったし、映画館では初めて観た。オープニングタイトルが出てあの曲が流れたときはちょっとかっこよすぎて涙が出たけど、映画自体はやっぱり全然わけわからん。いや、話のスジはわかるんだけど・・・。デヴィッド・ボウイは男前すぎたし坂本龍一は面白すぎた。画像の場面はめちゃくちゃ笑ってしまったけど(ひっそりとです)、まさか映画館にいる人の誰も笑わないとは・・・。私、芸術的センス皆無なのかも。しかしミラノ座はこれがラストとなりました。それほど通ったわけじゃなかったけど、やっぱりさびしい。上映前のスクリーンにはミラノ座の歴史が静かに流れていて、ちょっと泣きそうになった。大劇場の時代が終わってしまった。ありがとうございました。

 

Aquele_Querido_Mes_de_Agosto

『私たちの好きな八月』/ミゲル・ゴメス/ポルトガル・フランス/2008 (2014.12.26 新文芸坐)★★★★★

新文芸坐シネマテークの企画にて鑑賞。めっちゃくちゃ良かった!実は2年くらい前にユーロスペースでやっていたポルトガル映画祭で観た時は全く良さが分からずひたすら「早く終わらないかな」と思った記憶があり、今回もパスしようかと思ったけど観直して本当に良かった。こんなに良い映画だったとは・・・。ユーロスペースの時は、前の席の人が上映中ずーっと団扇をパタパタやっていて、光がチラチラして全く集中できなかったせいだと思う。ミニシアターで団扇パタパタは結構迷惑行為だと思うのですが、私が神経質なのかな・・・。この映画は面白くてじーんときて、青春の輝きとポルトガルの村の輝きがあって、地域を活写していて・・・本当にすごい映画でした。これも大寺眞輔氏の講義付きだったけど、この企画は毎回この解説がとても勉強になって楽しい。解説と自分の感想が混ざってしまうけど、とにかくこの映画はドキュメンタリーの手法をとりながら実はガッチリとフィクションで、でも実際に村人にインタビューをしたドキュメンタリーの映像も混ざっていて、一体どこからがフィクションでどこからがドキュメンタリーなのかさっぱりわからない。ミゲル・ゴメスはそこを軽快に往復しながら楽しんでいるように思えた。そもそも確固たるフィクション(虚構)、確固たるドキュメンタリー(現実)などない、ということをこの映画は言っているのだと思う。もう一度観る機会があったら絶対観たい。

 

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『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』/ジョエル・コーエン イーサン・コーエン/アメリカ/2014(2014.12.28 新文芸坐)★★★☆

2014年の映画納めはこれでした。良かった~。こういうアメリカのフォークソングがわりと好きなのもあって、冒頭から主人公の虜に。そして何よりラストの仕掛けが最高!猫はアリスのウサギのような役割で、一筋縄では終わらない洒脱な終わり方でした。しかしルーウィンが地べたで寝ているときに椅子に座って朝食を取っていた兵役中の爽やか男、あのショットを観たときに「あー、こいつに抜かれるんだろうなあ」とは思ったものの、それを見せつけられたルーウィンは辛かったろうなぁ、などと思った。音楽の価値と商業的な価値は必ずしも一致しないのは自明のことだけど、それはいつの時代も同じなんだなぁ。ライブハウスのオーナーに「金の匂いはしない」と言われたときの光の淡さが切なかった。そしてキャリー・マリガンが超可愛かった。ラスト近くに明かされるオチもグー。っていうか、例のブツを2枚重ねなくても、1枚でもしてたならほとんど可能性ないと思うけど・・・。

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