『インターステラー』:科学の知識なんか無くても楽しめた

interstellar

2014.11.22 新宿ピカデリー

『インターステラー』/クリストファー・ノーラン/アメリカ・イギリス/2014 ★★★★

これは、ゴリゴリのSFと父娘のヒューマンドラマが合体した映画でした。
なので、人によって、SF部分に重点を置いて観た人とヒューマンドラマ部分に重点を置いて観た人とに分かれるような気がしました。そして、予告編だと後者に重点が置かれたような感じなので、『アルマゲドン』みたいなものを期待して観に行く人もいるんじゃないかと思いますが、そういう人は期待が裏切られるかもしれません。
でも私は完全に前者でした。SFはわりと好きだし、去年一番良かったと思う映画は『ゼロ・グラビティ』だし、「またああいう圧倒的な映像体験をしたい!!」という期待が大きかったです。ちなみに、本物のSFファンというのは知識とかすごいと思うのですが、私は全然そうではありません。SF映画は有名なものしか観ていないし、SF小説も、フィリップ・K・ディックに一時期ハマって読み漁ったりはしましたが、その程度です。なので科学的予備知識は、ほとんど無い状態で観ました。それでも面白かった。何が?SFが。光と溶け合う映像が!

【あらすじ】

舞台は近未来の地球。大量の砂埃の発生により食糧難となり、人々は少しでも食糧を生み出そうとみんな農業に従事している。一時期世界が夢中になった宇宙開発は、既にそっちのけ。そんななか、元宇宙飛行士のクーパー(マシュー・マコノヒー)は、世相とは逆に、再び宇宙へ飛び立つ夢を持ち続けている。その影響を受けた娘マーフ(マッケンジー・フォイ)も、母がいないこともあってか父になついており、宇宙に関する知識やセンスには天才的なものがあった。そんなある日、二人はひょんなことから既に閉鎖されたはずのNASAの施設を発見する。それをきっかけに、再び宇宙へ行って人類が住める星を探すミッションに加わる話がクーパーに舞い込んでくる。マーフは泣いて反対するが、「絶対帰ってくる」と約束し、父は宇宙へと旅立っていく・・・。

【感想】

とりあえず、冒頭でも述べましたが、この映画の楽しみ方の主なパターンは、「宇宙の映像に興奮する」と「父娘の愛に泣く」の二つです。そして私が個人的にどうだったかというと、完全に前者で、父娘愛はどうでも良かった。私はどんなに姑息な演出であろうと、わりと簡単に涙するほうであると自負していますが(金八先生のスペシャルとかほんと泣けた)、この映画、別に泣けないですよ。なんでかって、泣かせよう泣かせようという演出があまり無くて、結構淡白だからです。そこが良いんですけどね。でも、泣きたい人は物足りないかもしれません。で、そういう淡白な演出が良かったと言っておきながら父娘愛はどうでも良かったというのは矛盾しているようですが、してません。なんでしてないかというと、この映画がSF映画として面白すぎたからです。

『ゼロ・グラビティ』が凄すぎて、リアル系SFはすごくハードルが上がっているのにどうするんだろう?と思ったのですが、さすがノーラン、全然心配する必要ありませんでした。予告編ではわからなかったのですが、この映画は後半になればなるほど凄いです。

まず、ワームホールの映像が凄い。ワームホールとは、そこを通ると何億光年も離れているようなところへワープできるような、時空の曲がった穴のような空間のことらしいのですが、それがなんかキラキラした球体みたいな感じで表現されていて(しかし実際そうらしいというのがめちゃくちゃ夢がある!)、スノードームとか集めてる女子も大喜びです(たぶん)。その中を通過するときなんかも最高に楽しい。こういう映画は最近だとだいたい3Dで作られますが、2Dでこの迫力というのがほんとに凄い。心底IMAXで観直したいです。

次に、いろんな星の造形が凄い。巨大津波の星とか、氷の世界の星とか、ほんとワクワクします。とくに巨大津波の星。最初その星の大気圏に入って海が見えたときはやたら感動しましたが、ちょっと『惑星ソラリス』を思い出させるような不気味な感じも出ていて最高でした。そこでのTARS(『2001年宇宙の旅』でのHAL9000を思わせる人口知能ロボット。ユーモアを兼ね備えてるあたりが最新型。)の活躍も良いです。

そして、それぞれの星と地球との時間の流れ方のズレも凄い。クリストファー・ノーランって、『インセプション』でもそうでしたが、現実世界(今回は地球)とそうでない世界との時間のズレとか、そこから生じる人と人とのすれ違いみたいなものを描くことに取り憑かれてる監督なんですね。ここがこの映画の一番のポイントであり、一番面白いところだったと思います。ある星での1時間は地球の7年とか・・・その星でちょっとミスしたりしたために時間をかなりロスして、娘は「父から連絡が来ない」とか言っていて、いつの間にか中年になってたりして、すごく怖くてすごくロマンチックです。だからこの映画における父娘愛は、私にとってはこのズレの怖さを描く装置でした。その装置の機能として素晴らしかったです。

その後の大どんでん返しとか、前半の伏線を回収する圧倒的な展開とか、サイケデリック極まりない映像とか、もうホント凄いのですが、やっぱり私はこの時間のズレが一番印象的でした。このテーマの描き方については『インセプション』よりも成功してるんじゃないかと思います。やっぱりSFの何が面白いかって、ホラーとかとは全然質の違う、でも人間の根源を揺さぶるような、そういう怖さを感じられるところだと思います。この『インターステラー』は、その種の怖さを感じたいという欲望も満たしてくれました。だからSF映画として最高に面白かったです。正直後半、何が起きたのかを科学的に説明するようなセリフとかもあったのですが、そのへんは半分ぐらいしか理解できませんでした。でも、話の大枠はわかるようにできていたので、科学的な話の一つ一つは理解できなくても良いと思います。そのへんは勿論わかったほうが面白いと思いますが、わからなくても十分面白いです。

だけど、新宿ピカデリーのスクリーン1を満席にしたこの映画、公開規模のわりには内容がカルト的で、果たしてヒットするのかどうかちょっと心配です。批評家受けは良さそうですが…。後半のわけのわからない感じを、「意味がわからない」「置いてけぼりをくらった」と感じてしまうと、途端につまらなくなってしまいます。『インセプション』もそこそこ頭がこんがらがる感じはありましたが、それ以上に難解です。でも、わかろうとするから難解なのであって、SFファンには怒られるかもしれませんが、私はそのへんはだいたいで良いと思うんですが、どうでしょうか。

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