堪忍!映画館トホホ体験~一体どこからそんな声が~

humantrustshibuya

一昨日、仕事が終わってから、特集上映のうちの一本のイスラエル映画を観に行きました。パレスチナの少年が主人公の社会派映画で、結構楽しみにしていた一本です。平日ということもあってか客はまばら、これは快適に過ごせそうだ、と、私は期待に胸を弾ませながら上映開始を待ちました。

しかし、映画が始まって30分も経たないうちに、後ろの列から「パ・・・リ・・・パリ・・・」という、遠慮しながらスナックの袋を開けているような音が聞こえはじめました。あまりにも長引くので、「もういいからいっそ一気にやってくれ」と思ったのですが、「パ・・・リ・・・パリ・・・」「キュルッ」「パリ・・・リ・・・・」という音が延々続き、私の元々乏しい集中力は一層奪われる事態となりました。そして映画よりもその音についての分析のほうが捗り、次第に「パ・・・リ・・・」は袋の中に手を入れたときに鳴る音、「キュルッ」はキャンディか一口チョコの類を包装しているセロハンのねじれを解く時の音、ということがわかってきました。その人物は一口食べたら止まらなくなったらしく、エンドレスで口の中に補充し続けている様子でした。一度ちょっと「キュル!!」という大きめの音が鳴ったとき、私は「今だ」とばかりに背伸びして後ろを振り向いてやりました。「ひ・び・い・て・る」のサインのつもりでしたが、しかし予想図に反して全く効き目はなく、しかも上体の捻りが足りず、どんな奴がその行為をやらかしているのか目で確認することもできませんでした。

でも映画はなかなか面白かったので、それなりに満足してエンディングを迎えました。ヘブライ語の、全く読めないエンドロールも最後まで観て堪能し、席を立ちました。すると突如、前の方で「お前!ふざけんじゃねーぞ!!」という怒鳴り声が聞こえてきました。サラリーマン風の小太りなおじさんが通路の方を見ながら怒鳴ったようでした。おじさんの視線の先には「えっ、えっ」という感じで狼狽しながらおじさんの方を振り返りつつ出口へ進んで行く大学院生風の男性がいました。予想ですが、席を立って通路に出る途中におじさんがドーンと座っていて、ちょっと足を踏んでしまったとか、ぶつかってしまったのだと思います。そんなことで怒鳴るなんてどうかしてるぜ、と思いながら私も出口のほうへ歩きだしたとき、後ろの列の、黄色いTシャツをだらしなく着た、席いっぱいを肉で埋め尽くしたような太った男(年齢不詳)が、ロボットのような喋り方で、「マタオマエカ、マタオマエカ」と、言いました。小太りおじさんに向けられた言葉であることは明白でしたが、しかしそれはほとんど呪文でした。その声はあまりにも平たく、あまりにも無機質でした。それでいて、発した男の風貌の有機的なことといったらありませんでした。

おじさんも黄シャツも、おそらくこの特集上映の別の作品も観に来ていたのだと思います。そして前回もおじさんは似たような暴挙をはたらいたのでしょう。見かねた黄シャツは、おじさんをたしなめたわけです。私は彼を支持します。彼が正しいと、自信を持って言いたいと思います。たとえその時彼の腕に、アルファベットチョコレートの大袋が抱かれているのが、思いっきり見えたとしても。

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