『プロミスト・ランド』:普通の人を演じたときのマット・デイモンは最強

promisedland

2014.9.1 新宿武蔵野館

『プロミスト・ランド』/ガス・ヴァン・サント/アメリカ/2012 ★★★☆

マット・デイモンはやはり良い!『ヒア・アフター』のときのマット・デイモンが凄く好きなのですが、本作のマット・デイモンも良いです。「人の良い普通の男」を演じさせたらピカ一なんじゃないでしょうか。元々は彼自身が監督もする予定だったのが、他の作品の撮影と重なって監督が出来なくなり、ガス・ヴァン・サントにお願いすることにしたそうです。脚本はデイモンとジョン・クラシンスキーの共同執筆です。

マット・デイモン扮するスティーヴ・バトラーは、天然ガスを扱う大企業「グローバル」のエリート社員です。彼の仕事は、農業地帯の地下に眠るシェールガスを採掘する権利を、土地を所有する農家から借り上げること。自らも農村出身であることを活かして次々と業績を挙げ、その数字を見込まれて昇進も約束されます。彼は自分のしていることが貧困にあえぐ農村を救うことでもあると信じており、農家の側も採掘権利を貸し出せば一攫千金できると考え、はじめは彼を好意的に受け入れます。しかしあるとき、村民を集めた説明会で、シェールガスが土地を枯渇させるリスクを伴うものであることを老科学教師が指摘し、村民の意見が割れてしまいます。そして3週間後に投票によって決めることになってしまいますが・・・。

スティーヴは冒頭、土地の人から親近感を持たれるように、土地の店でネルシャツを購入し、それを着て営業に回るのですが、値札を外し忘れるという凡ミスを犯します。ここでスティーヴがあまり人をうまくやりこめることが得意なタイプではない、実直な男であることがわかります。一方、相棒のスー(フランシス・マクドーマンド)はシングルマザーなので、守るものがあることの強さなのか、仕事は仕事と割り切るタイプです。彼女にとって一番大事なのは、息子を育てていくために必要な安定した収入です(営業の際に農家の母親に対してそこを強調したところからもそれがうかがえます)。最終的に、この性質の違いが二人の行き先を大きく変えるわけですが、それまでの軽妙な掛け合いの積み重ねがうまく機能していて、この点についてのオチは非常に納得がいくものになっています。

投票の日までの間に、環境保護団体の男が現れて徹底的に邪魔されるのですが、この邪魔の仕方はちょっと怖いくらいでなかなかスリリングです。面白いことは面白いです。で、いきなりラストについての感想ですが、ラストでスティーヴが選んだ道は、ちょっと「やっぱりね」感が強くて面白みがありませんでした。それに、村が疲弊していることは事実なので、そこはやっぱり美化できないと思うのですが、その辺がちょっと雑でした。あと、スティーヴが自分の道を決める決定打となる「レモネード売りの少女」の場面もベタすぎてちょっと白けました。総合すると、そこそこ良いけど結局はわりとベタな着地点で、大味な感じです。それに、相棒スーは魅力的でしたが、スティーヴが魅かれる土地の女アリス(ローズマリー・デウィット)がただのビッチにしか見えなかったのも残念。どんでん返しには驚きましたが、それ以外は至って普通の社会派ヒューマンドラマでした。

ところでこの映画の製作は2012年ですが、日本で公開されたのは2014年8月と、すごく遅れました。理由はシェールガスの安全性についてこの映画が否の立場をとっていることだといわれていますが、真相はわかりません。あとこのストーリーは、日本における原発の問題と大きく重なっているように思えます。まぁそれはさすがに関係ないと思いますが・・・。

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