『怪しい彼女』:笑った!泣いた!満足した!

missgranny

2014.7.18 新宿武蔵野館

怪しい彼女』/ファン・ドンヒョク/韓国/2014 ★★★★★

この邦題からして最高ですが、中身も最高!!やっぱり映画はこうでないと!たぶん今年観た中で今のところ一番良かった。笑って泣けて、オチも最高。ラストの一文でまた泣けて・・・。そして韓流をよく知らない身としては、イ・ジヌクというイケメン俳優とジニョン(B1A4)(って紙のサイズ?)というアイドルを知ることができたのも収穫でした。やはり前髪の下りた韓国俳優は良い!

70歳のオ・マルスン(ナ・ムニ)は、激動の時代を生きたたくましすぎるばあさんで、大学教授となった自慢の息子(ソン・ドンイル)の一家と同居しています。あまりの毒舌により嫁をノイローゼに陥らせ、原因はばあちゃんだと孫娘に言われたことでプチ家出。でも夜にはしっかり孫息子ジハ(ジニョン)(B1A4)(紙)と会う約束をしていますが、その約束の時間の直前、ふとしたこからハタチの時の姿(シム・ウンギョン)に変身してしまうというミラクルが起きます。そしてオ・ドゥリ(オードリー・ヘップバーンより)と名乗り、持ち前の歌唱力を活かしてジハのバンドにボーカルとして入ります。その歌唱力と、姿はハタチでも立ち居振る舞いは70歳というギャップから、怪しい彼女はイケメンプロデューサー(イ・ジヌク)をはじめ、どんどん人々を魅了していきます。

この監督、超シリアスな『トガニ~幼き瞳の告発』からの振幅の大きさが凄いです。元々ひょうきんな人らしいのですが、70歳の動きを完全にものにした主演のシム・ウンギョンのコメディエンヌとしての才能が十二分に発揮されていることを差し引いても、随所に散りばめられた小ネタが効いていて何回も笑いました。全体を通してみても、観た後に誰もが元気になれるような、完璧な脚本だと思います。ラストの落とし前の付け方も抜群です。

若い頃から歌が上手だったマルスンが、ハタチの姿に変身してバンドのボーカルとして迎え入れられ、さらに超イケメンプロデューサーに目をつけられて人気(とモテ)急上昇、というシンデレラストーリーは、誰もが一度は夢見る筋立てだと思います。しかしながら、マルスンの中身が図太くふてぶてしい70歳のため全くシンデレラシンデレラしておらず、その挙動が笑いどころとなっているし、しかも実はこの映画がひたすら若さを礼賛しているわけではないところも良いです。

この映画が若さの礼賛ではなく、むしろ老いることに対する尊敬のようなものをテーマとしていることは、女を球技にたとえるオープニングで見事に提示されています。10代はバスケ(男たちが手を伸ばしてボール=女を欲しがる)、20代はラグビー(ボール=女のためなら男たちは死をも厭わない)(厭うと思うけど)、(中略)そして50代はドッヂボール(みんながボール=女を避ける)というように、ボールでサクサクつなぐ編集のリズム感にはやられましたが、要するに「女は年齢を重ねていくにつれ価値が落ちるネ!」ということを言っているので「まじか」と思ったのですが、そこから大学の授業の様子の場面に移り、そこで老人という言葉から連想するものを学生に語らせる流れは素晴らしいと思いました。そこで学生たちは「老い」ということに対して否定的な言葉ばかりを連ね、一人の女子学生が「私は30歳で自殺するから老いとは無縁なの」と発言したところで「私は30歳で死ぬつもりだったんだけどねぇ」と語る70歳のマルスン(初登場)につなぎます。マルスンは、でもお腹に子どもがいたから死ねなかった、と続けます。この映画の言いたいことは、実はここに全部表されていたのだと思います。ハタチの姿になってからも、本当は老人であることや老いていくことの重みを、主にお葬式の場面でさらっと、でもきちんと描いているし、加えて「母」というものへの尊敬の念を、ラスト近くの山場は言わずもがな、ギャグを交えた回想シーンにおいてもじんわりと伝えています。コメディの体裁を取りながら、決して押し付けることなくこうしたメッセージをしっかり伝えてくるところにはきっと緻密な計算があるのでしょうが、オープニングで言いたいことを見事な形で提示しているのはその象徴だと思います。

それにしても、今の日本映画ではこういうストレートさがあまり見られないような気がします。広告代理店の臭いが立ち込めていたり、やたらこじらせ系だったり、その両方だったり。こういう普通に面白くて良い映画って作られないんですかね。

ところで最後に、ドッヂボールという単語が登場したので、体育1の成績をゲットしたことのある私が、運動音痴の人のためにドッヂボール必勝法を書いておきます。まずはじめから外野になったらだめです。最後に内野に戻されるからです。とにかく内野として正々堂々と勝負します。具体的には、相手の陣地とのラインギリギリ(つまり最前線)の、左右どちらかのはじっこに立ちます。ぼーっと立ちます。敵は誰もあなたを見ていません。なのでボールを当てられることはありません。でも仲間がどんどんやられていくと、だんだん目立ってきます。そうしたら、適当なところでサッと外野に出ます。はじめからはじっこにいた運動音痴のあなたが、既に当てられた人なのかまだ生き残っている人なのか、誰も覚えていません。なのでボールが当たってもいないのに外野に出たって誰も気付きません。私はこの方法で少しのケガもすることなく小中学校時代を切り抜けました。そしたら体育が1でした。

 

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