はじまりは五つ星ホテルから

viaggiosola

2014.2.15 bunkamura ル・シネマ

『はじまりは五つ星ホテルから』/マリア・ソーレ・トニャッツィ/イタリア/2013 ★★★★

世界の五つ星ホテルに覆面調査員として宿泊することを仕事にした中年独身女(名:イレーネ)を描いた映画。この珍しい(というかそんなのあるんだ、という感じの)仕事が題材になっているのも面白いし、訪れる国の風景や実際の五つ星ホテルの様子などが美しく、(やたら旅行欲を刺激されますが)映像としても楽しめるし、イレーネも周りの人々も丁寧に描かれていて、「良い映画を観たなぁ」と思わせてくれる映画でした。

映像として特に楽しめたのはモロッコのパートです。個人的にすごくモロッコに行ってみたいということもありますが、踊子のダンスシーンなど息をのむ美しさでした。あのホテル、泊ってみたい!ストーリーとしてはわりと個人的な、規模の小さな映画なのに、各国の大自然や世界遺産の建築物などの、スケールの大きな美しい映像がふんだんに盛り込まれていてメリハリがあり、主人公がホテルの覆面調査員、という設定が十二分に活かされてました。

ホテルの覆面調査員という仕事は、要するに「アラ探し」なわけで、悲しいといえば悲しい仕事です。せっかく高級ホテルに来ているのに、姑のようにホコリをチェックしたり、ルームサービスを頼んでから届くまでの時間を測ったり、全然楽しめません。でも本人はそもそも楽しむつもりもないようで、仕事として誇りを持ってやっています。未婚で子なしですが、(たぶん、だからこそ)自分の人生は充実していると思っています。でもある出来事をきっかけに、だんだん考え方が変わってきます。自分は実は孤独だし、親友(男・元彼)もミスって若い女と子どもを作ってしまったし(しかもミスったわりには誕生を楽しみにしてる感じだし)、妹とも喧嘩したし、妹の子どもたちにも接し方を間違えたし(だって子育てしてないからよくわからないし)・・・という感じでどんどん自信喪失していくのですが、このときの立ち居振る舞いが妙に可愛げがあって、なんだかんだこの人良い人だな、という感じで好感を持てる人物なので、映画のこの女性に対する目線の温かさを感じます。そしてそれはそのままこの女流監督の現代女性に対する目線を表しているんだと思います。日本もそうですが、多くの国でイレーネみたいに仕事を持って独身で通す女性が増えていると聞くので、これはすごく「今」をとらえた映画でもあるんだと思いました。でもそういう生き方を特段支持するわけでも批判するわけでもなく、全く偏りなく、ただそのまま優しく包み込むような感じで、あっさりしているといえばあっさりしていて、そこがすごく良かったです。

欲を言えば、訪れる国の中に日本も入れて欲しかった!アジアは上海だけでしたが、上海もめちゃくちゃ魅力的に撮られてました。日本だったら東京かな?京都かな?それだけが残念です。

登場したホテル(公式サイトより)
・オテル・ドゥ・クリヨン(フランス・パリ)
・グシュタード・パレス(スイス・グシュタード)
・フォンテヴェルデ・タスカン・リゾート&スパ(イタリア・トスカーナ)
・パレ・ナマスカ(モロッコ・マラケシュ)
・ボルゴ・イグナシア(イタリア・サヴェッレトリ・ディ・ファサーノ)
・ホテル・アドロン・ケンビンスキー(ドイツ・ベルリン)
・ザ・プリ・ホテル・アンド・スパ(中国・上海)

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