スノーピアサー

Snowpiercer

2014.2.7 TOHOシネマズ六本木ヒルズ

『スノーピアサー』/ポン・ジュノ/韓国・アメリカ・フランス/2013 ★★★★

大大大好きなポン・ジュノ監督の新作とあって、ずいぶん前から前売り券を用意し、初日に無理矢理仕事を切り上げて鑑賞してきました。結果、めちゃくちゃ面白かった、けどポン・ジュノ作品の中では上位ではない・・・という感じでした。『殺人の追憶』『グエムル』『母なる証明』の、あのキレッキレの隙の無さ・完璧さが今回はちょっと薄れてます。でも視覚的には今回が一番楽しめるし、ラストでハッとさせておきながら煙に巻くような技とセンスは今回も遺憾なく発揮されてます。

フランスの漫画が原作だという本作は、地球温暖化の深刻化を解決するべく科学者が開発した薬を世界で一斉に空から捲いたところ冷え過ぎて一瞬にして世の中が氷り(このくだりはグエムル誕生の理由とちょっとリンクしててポン・ジュノこういうの好きなんだなと思いました。あと薬を散布するための飛行機が空に飛んでいく映像に合わせた音楽がなんかやたら50~60年代の東宝特撮映画っぽくて良かった)、生存しているのは「スノーピアサー」という1年かけて世界を一周する列車に乗り込んだ者のみ、というディストピアものです。さらにその列車は階級によって車両が分けられていて、金持ちの上層階級が前方に、貧民層は後方車両に乗せられていて、後方車両の人々は前方車両の人々に奴隷のように管理されていて、我慢の限界に達した彼らが革命を起こすべく立ち上がる、という、かなりわかりやすいストーリーです。

まず、後方から前方へ攻めていくときに車両の扉をひとつずつ開けていくのですが、それがなんか昔やったファイナルファンタジーみたいで、要はRPGっぽくて面白いです。途中には水族館があったり植物園があったり学校があったりして、車両ごとに景色がガラッと変わってカラフルなので観ていて飽きません(ポップ!)。で、革命の道中は結構な暴力描写があって血が大量に流れたりするのですが、その一方で、水族館の車両になぜか寿司屋が入っていてそこで一同並んで寿司を食べたり、戦いの真っ只中にナントカ橋(名前失念)を通過して、どうやらその橋を通る日が元旦らしく、そこで突然休戦状態になって「ハッピーニューイヤー!」とみんなで叫んだり(でもすぐに戦闘再開)といった独特の箸休め的場面がところどころに挿入されているのがポン・ジュノ節で良いです(シュール!)。あとやっぱり窓の外に見える雪にまみれて死んだ街とか、その合間を走り続ける列車の描写とか、ずっと狭い車両の中でひしめく人間たちがスクリーンに映っているところにふとそういう、外の様子とか外から俯瞰するシークエンスなんかが入ってくるとすごく興奮します。そのへんのバランスもうまく出来てたと思います。

人物としては、やっぱりティルダ・スウィントンが演じたメイソン(上層部の総理)がいやらしい人間の権化で面白いのですが、それと同格っぽい上層部のいかつい男(ヴラド・イワノフ)が怖すぎました。メイソンは自分が窮地に陥ったときにいやらしく生に執着したり、神のように崇めていたウィルフォードのことをそれゆえにあっさり売ったりと実に人間らしく描かれていたのですが、あのいかつい男(フランコという名前でした)はなにゆえあれほどまでに下層部の人々を尋常じゃない憎しみの目で見たのかいまいちわからず。ゾンビのように何度も甦ってきてかなり怖かった。あの人に関する伏線って何かあったのかな?私が見逃しただけ?何もなかったら、あの人ほんとにただのめちゃくちゃ怖い人でしたが。

まぁそれは良いとして、映画全体を引き締めていたのはやっぱりソン・ガンホとコ・アソンの父娘でした。この二人は元は上層部なのかわかりませんが少なくとも下層部出身ではなさそうで、でも薬のやりすぎで拘留されているという、どちらともつかない位置にいることでどちらにも感情移入しない視点が確保されており、かつその視点がほとんどラリってるような感じで、でも超能力のようなものを持っていたりして、誰からしても理解不能の人達なので、それが映画全体のスパイスとして効いています。実際この二人のラストの行動が映画のしめくくりを作っているわけで、その役をやるのはやっぱりこれまでポン・ジュノ作品に出続けてきたソン・ガンホとグエムルで好演したコ・アソンの二人、というのが妙に嬉しいです。

主役のクリス・エヴァンスについて全然書いてませんが、これは特に書くことがないので・・・。最後の独白もあんまり衝撃とかでもなく、ラスト近くの仕掛けとしては弱かったです。このことに象徴されるように、この映画、設定とか人物とか景色とかはすごく魅力的なのですが、傲慢な金持ちVS頑張る貧乏人というあまりにも簡単な図式がどうも苦手で(そのほうが最後に明かされる「仕掛け」がより引き立つからだとは思いますが、それでも)『殺人の追憶』や『母なる証明』で描かれた人間の得体の知れなさみたいなものが全然出てこないところがちょっと残念でした。まぁでもこれがポン・ジュノ作品じゃなく別の監督の作品だったら、「すごい監督が出てきた!」とか大騒ぎするレベルではありましたが。ラストも賛否両論みたいですが私は好きでした。

下の画像は前売り券(ムビチケ)購入特典のスノーピアサー乗車パスポート型ノート(つまりただのノート)とパンフレット。あとふなっしーの足(出てる)。

写真(29)写真(30)

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