ビフォア・ミッドナイト

Before-Midnight

2014.1.22 バルト9

『ビフォア・ミッドナイト』/リチャード・リンクレーター/アメリカ/2013 ★★★★

あのたまらなく美しく輝いた、ひとしずくの宝石のような一夜から18年、セリーヌ(ジュリー・デルピー)とジェシー(イーサン・ホーク)も41歳になりました。映画は相変わらずの長回し&会話劇。アメリカ映画なのにフランス映画っぽくて、ひたすら会話を撮り続けてるのになぜか全く飽きさせないところも相変わらずです。そして今作も、観終わった後に深い余韻を残してくれます。

ただし下ネタの多さはパワーアップしてます。脚本は主役二人と監督の三人で練り上げたそうですが、ジュリー・デルピーが監督した『スカイラブ』(’12)もかなり下ネタが多かったことを思うと、もしかして下ネタはデルピーの趣味なのか?という気がしてきます。40代になって明らかに老いからくる体重増量を遂げた今でも顔は美しいデルピーは、若い頃はそれはそれは綺麗で可愛くて、『汚れた血』(’86)に出ていたのを見たときなんかはこの世のものとは思えませんでした。でもこの世には「美少女が下ネタを」というジャンルがあるというか、日本の至宝・吉永小百合も若い頃に「松茸は なめてくわえて またしゃぶり」という驚愕の俳句を詠んでいるようで(詳しくは「吉永小百合 松茸」で検索検索。というか「吉永小百合」って入れたら「松茸」って出てきます)、それを思い起こすと、周りから清楚とか清純派とか言われると「そんなことないの!」とか言いたくなるものなんでしょうか。と思ったりしました。いや、でも吉永小百合はきっと本当に松茸が好きなんだよなぁ、「松茸」じゃなくて松茸が。そうに違いありません。

なんかどうでも良いことにだいぶ文字数を費やしましたが、映画の話に戻ると、個人的には、やっぱり第1作目の美しさと愛しさとせつなさと心強さと・・・あの奇跡のような、幻のような夜と二人の別れ、二人がいなくなった後のウィーンの街並みのせつなさ等々を思い返すとやっぱり胸がしめつけられて、ロマンチックで、このシリーズで一番好きなのは第一作だと感じます。でも、二作目が間に挟まって、今作は、全くロマンチックではなく、むしろすごくリアルで、一・二作目とは全く別の楽しみ方ができました。だって、男は元妻との間にできた息子を自分のもとで育てるためにシカゴに移住したいけど、女はやっと子育ても一段落ついて社会に再び出ていくための地盤固めができてきて且つそもそも自分の故郷であるパリを離れたくない、それで大喧嘩、というのは、何も国際結婚してたり元妻との間に子どもがいたりしなくても、似たような状況はいくらでもあると思います。たとえば今の日本で日本人同士で結婚していたって、共働きで夫が転勤になったときに妻は仕事をやめてついていくのかとか、地元同士で結婚して親の面倒も観ながら安穏と暮らしてるのに突然夫が転職して別の県に行きたいと言い出したとか、すごくよくある話なんじゃないでしょうか。すごく愛し合っていて、でもどうにもイラつくネタが多くて・・・そういうのを、美化したりロマンチックにしたりすることなく、ひたすら止まらない会話で表現しているところが凄いと思いました。特にデルピーの裸体が・・・なんというか、本当に美化したりロマンチックにしたりしていないことの象徴といったら失礼なのですが、いやでも正直象徴していて、凄いと思いました。

まぁでもこれ、観てるとセリーヌがヒステリーを起こしてジェシーがなだめる、という構図になっていて、過去二作ではセリーヌはこんなにヒステリーな女じゃなかったような気がするのですが、やっぱり心の奥には「会えなかった間も私はあなたを思い続けていたのにあなたは私と会わない間に結婚なんかしやがって」というのがあるのでしょうね。そういうところをきちんと拾っているところも凄く良かったです。これまた続編が作られるのでしょうか。作って欲しいなぁ。息子がどうなるのか気になります。

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